STORY

もっとTAKARAのことを知ってほしいから。
4つのストーリーを紹介します。

STORY #02

ダナン建築大学のゼミに潜入!

02

新ゼミ生たち、挨拶、お辞儀に戸惑う。

教室に入ると、机を並べて座っているのは、面接試験に合格した15~20名。ダナン建築大学の仕組やカリキュラムに応じて変更はあるものの、通常は8月から1年間、TAKARAゼミで学びます。

ベトナムは日本ほど時間にシビアではありません。遅刻せず、時間通りに授業がはじまる。まずそこに驚く学生も少なくありません。

最初の授業で学ぶのは、挨拶。「おはようございます」「こんにちは」「よろしくお願いします」「ありがとうございます」。最初はみんな声が小さく、何を言っているのかわかりません。次第にはっきりとお腹から声を出せるようになっていきます。お辞儀も同様に、ベトナムにはお辞儀の文化がないので、最初はきょとんとしている学生も。また、ゼミのある日は白シャツに黒スラックス、時と場合によってはジャケットを着ます。ちょっとした制服のような感覚です。周りの学生たちがTシャツに短パンで過ごすなか、身なりを整えることで、ゼミ生たちの間にピリッとした緊張感と、自分の将来への期待感のようなものが漂います。

こうしてゼミ生たちは、今後日本で働く可能性があることも踏まえ、1年間を通して日本語はもちろん日本の文化や慣習も身につけます。

目からウロコ!?の、公衆衛生の重要性。

日本とちがってベトナムの学生たちは、衛生教育を受けておらず、衛生の重要性を認知していないため、教科書に沿って公衆衛生についての授業を受けていきます。

「公衆衛生概論」では、水系感染症や化学物質による汚染、世界の水道設備、水質基準、給水設備・装置、塩素消毒について学びます。少し難しそうですが、とても大事なことです。
同時に、東南アジアにおける衛生設備の不備がもたらす経済損失についても学びます。具体的には健康被害、環境被害、ジェンダー不平等の問題や観光などの産業に与える影響などです。

自分たちの置かれた環境がどれだけ整っていないか、どの学生も真剣な眼差しで先生の話を聞いています。

教科書は日本語なのか?と疑問に思われる方も多いですが、ベトナム語の教科書があるので大丈夫です!
日本語の授業は基本的に日本語で行い、日本人の先生が教える時は通訳が付きます。

ベトナムと日本のトイレの違いに愕然!

水の安全がどれだけ大事かということを学んだら、実技の授業がはじまります。

実際に使い手の目線で、普段使っているベトナムのトイレと日本のトイレの違いを実例集を見て学びます。最新の日本のトイレには、パウダールームや着替えスペース、授乳室などが完備されており、誰でも利用しやすいものになっています。ウォシュレット機能は当たり前で、音が流れるものや、便器を除菌できるものもあったりします。外国人が日本のトイレを仕様して1番驚くことは、ウォシュレット機能だとか。「日本のトイレって住めるじゃないですか!」と思わず口に出してしまう学生も!

次は作り手の目線でベトナムにある日本のメーカーの工場を見学に。海外のものは小さな傷があったりするくらいは許容範囲でも、日本のメーカーでは品質管理が徹底されています。便器は陶器でできていますが、少しの傷や小さな黒い斑点があったりしたら不良品としてその場でたたき割られてしまいます。日本のメーカーのものづくりを通して、衛生設備の機器の品質がどれだけ重要かを学びます。

自分たちの手で、トイレを設計し、施工する。

1年の集大成となるのが卒業制作。自分ならどんなトイレをつくるか、それを表現する設計コンペティション。今のトイレの問題をそれぞれの視点で取り上げ、解決するためにどんな設計をするかを先生やゼミ生の前でプレゼンテーションする緊張の舞台。ひとりあたりのプレゼン時間は5分程度。全員のプレゼンが終わったあとに、先生とゼミ生による投票が行われ、一番票が多かった学生の設計図をもとに、ゼミ生全員で卒業制作を行います。

設計図を描いた生徒が設計リーダーになり、品質管理リーダーと工程管理リーダーを指名。作業着を着て、日本の安全衛生基準に基づき、先生やTAKARAの社員の指導のもと現場の作業を学生たちが行います。

胸を張って、日本の、ベトナムの建築社会へ。

トイレが完成したら、いよいよ卒業式です。1500名ほど入れる規模のホールで行われ、卒業証書と記念品が授与されます。記念品は名刺入れや名入れの文房具など、その年によって違いますが日本製のもので社会人として使えるものが手渡されます。

こうして、1年間TAKARAゼミで、日本のマナー・文化、公衆衛生の重要性、さらに衛生設備の実技を学んだゼミ生たちは胸を張って、日本の、そしてベトナムの建築社会へ巣立って行くのです。